- 2016/02/18
- 面会交流に係る費用の負担等が問題となった事案(最決平成24年12月19日)
事案の概要 | X(夫)とY(妻)は,平成19年に婚姻し,未成年の子Aをもうけた。
XYは,生活費について口論が絶えず,その際にXが物を投げたり,Y及びAに対して暴力をふるうことがあり,YはXの顔色を見ながら生活していくことに堪えられなくなり,Aを連れて仙台市の自宅を出て,釧路市に引っ越し,Xと別居した。その後Y及びAは,札幌市に転居した。 |
---|
判旨 | 原審は,面会交流の場所について札幌市とし,面会交流に係る費用については各自の負担と判断し,最高裁は原審の判断を正当として是認した。 理由の概要は,以下のとおりである。 面会交流は子の福祉のために実施するものであって,面会交流にかかる費用については面会交流実現のためにそれぞれの親が支出したものについては,支出した者が負担すべき筋合いのものといえる。Xは,仙台市に居住するXと札幌市に居住するYとでは,費用負担が公平でないと主張するが,非監護親と未成年者との面会交流は,親と子の双方にとって親子間の自然な情愛に基づくものであり,未成年者の安定的で健全,幸福な成長を促すために実現されるものであるから,面会交流に係る費用は各自の負担とするのが公平である。また,Xは,従前の仙台市での生活環境から一方的にAを動かしたのはYであるから,面会交流に係る費用はYが負担すべきであると主張する。しかしながら,Yは生活費をめぐり口論等が続くXとの生活に耐えられずに,釧路市に戻ってXと別居するに至ったこと主としてYが出産後からAの身の回りの世話をしてきたこと,Aは別居当時二歳であったことなどからすると,YがAを連れて別居したことを一方的な連れ去りと評価することはできない。 |
---|
見解 | 面会交流の費用負担の問題について,親がそれぞれ支出した分をそれぞれが負担するべきと判断したものである。 費用負担については,当事者間の合意により取りきめをすることも可能である。 なお,子と居住している親が別居の際に子を一方的に連れ去ったなどの具体的な事情により,結論が異なる余地を残している。 |
---|
備考 |
---|
このページをご覧の方はこんな情報を閲覧されています。